2014年03月13日

菅直人政権とカダフィー独裁政権の共通点−国民主権と左翼全体主義的一党独裁の親和性

 リビアの正式名称は、大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国である。カダフィー大佐の独裁政権の本質は人民主権を標榜する左翼独裁なのである

 20世紀初頭の伊土戦争により、1911年にはイタリア王国がリビアを植民地化した。植民地化後はイタリア人が入植したが、サヌーシー教団のオマール・ムフタールやベルベル人による激しい抵抗が繰り広げられ、特にフェザーンでの抵抗は激しく、イタリアによるリビアの完全平定は1932年にまでもつれこんだ。

 第二次世界大戦中には連合国(イギリス)と枢軸国(イタリア、ナチス・ドイツ)の間で激戦が繰り広げられた(北アフリカ戦線)。イタリアの敗戦により、戦後は英仏の共同統治領とされた。

 1949年の国連の決議により、1951年にリビアはキレナイカ、トリポリタニア、フェッザーンの三州による連合王国として独立した。リビア連合王国の国王にはキレナイカの首長であり、サヌーシー教団の指導者だったイドリース1世が即位した。1963年に連邦制は廃止され、リビア王国が成立した。

 1969年9月1日、ナセル主義者だった27歳のムアンマル・アル=カッザーフィー(カダフィ)大尉と同志の青年将校たちによるクーデターにより、トルコに滞在中だった国王イドリース1世は退位し、ムアンマル・アル=カッザーフィー(カダフィ大佐)を事実上の元首とする共和国が成立した。

 リビアは人民主権に基づく直接民主制を宣言し、ジャマーヒリーヤと呼ばれる独特の政体をとる共和国である。成文憲法は存在せず、1977年に制定された人民主権確立宣言が、その機能を果たす。

 ジャマーヒリーヤはリビアの最高指導者カダフィ大佐による造語で、「大衆による共同体制」といったような意味を持つ。カダフィィ大佐は直接民主制を標榜しており、「大衆によって支配される共和国」という国家体制を表現するためにこのような造語を行った。

 「ジャマーヒーリーヤ」という造語は、「共和国」を意味するアラビア語の一般的な言葉「ジュムフーリーヤ」から来ている。カダフィ大佐は、この語のうち「公共」を意味する「ジュムフール」の部分を複数形にし、「大衆」を意味する「ジャマーヒール」に変え、「大衆による国」という語にした。ジャマーヒリーヤは「人民共和国」などと近い意味となる。池内恵は、自著「現代アラブの社会思想」の中で「人民体」と訳している。

 リビアと同じく北朝鮮も、実は人民主権を標榜する社会主義独裁国家なのである。 

<朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法>

第1条
「朝鮮民主主義人民共和国は、全朝鮮人民の利益を代表する自主的な社会主義国家である。」

第2条
「朝鮮民主主義人民共和国は、帝国主義侵略者に抗し、祖国の解放と人民の自由と幸福をめざす栄えある革命闘争の過程で築かれた輝かしい伝統を継承した、革命的な国家である。」

第3条
「朝鮮民主主義人民共和国は、人間中心の世界観であり人民大衆の自主性の実現をめざす革命思想である、チュチェ思想をその活動の指導指針とする。」

第4条
「朝鮮民主主義人民共和国の主権は、労働者、農民、勤労インテリおよびすべての勤労人民にある。」

「勤労人民は、その代表機関である最高人民会議と地方の各級人民会議を通じて主権を行使する。」

 フランス暴力革命のイデオロギーであったルソー・シェイエス流の人民主権は、君主制を破壊する思想であり、左翼独裁政権と極めて親和的である。人民主権と左翼独裁は密接不可分であり、人民主権は、社会主義(共産主義)という虚構のユートピアを掲げて人民の代表もしくは人民の前衛を名乗る者の独裁政権を生み出す。

 独裁政治を好む左翼主義者は執拗に人民主権もしくは国民主権を美化し、これを強調する。左翼主義者は、人民主権が左翼独裁政治の母体であり、社会主義的独裁政治の正当化に役立つことを熟知している。故に自由を愛し独裁を否定する真正の立憲主義者は断固として国民主権を否定する。
 
 「主権がどこにあるのかと問われるなら、どこにもないというのがその答えである。立憲政治は制限された政治であるので、もし主権が無制限の権力と定義されるなら、そこに主権の入り込む余地はありえない。無制限の究極的な権力が常に存在するに違いないという信念は、あらゆる法がある立法機関の計画的な決定から生まれる、という誤った信念に由来する。」 (フォン・ハイエク)

 「国民主権のなかでは、国民は滅亡する。国民主権は、人間主権である。人間主権はその限度を知らない。そして人間の自由と権利を侵犯する。」(ベルジャーエフ)


 GHQ民政局のニューディーラー(アメリカの共産主義者)が起草した日本国憲法が国民主権を強調し、権力均衡分立主義を否定する第41条「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」を持っていることと、この日本国憲法のもとでは容易に一党独裁に近い政治体制が出現することは、決して偶然ではない。

 共産革命を起こし左翼独裁政治を日本国に生み出すことが日本国憲法起草者の希望であり目標であったのだろう。

 実際に2010年の参議院選挙において民主党が勝利を収めていたら、民主党に対する異常な権力の集中が起こり、旧社会党の主力を抱える民主党という左翼政党の一党独裁に近い政治体制、菅直人が希望する民主的な委任独裁が成立していた。

 これは、戦時中にソ連共産党を模倣した大政翼賛会の一党独裁を許さなかった帝国憲法下では、有り得ないことであった。

 いま、リビアにおいてカダフィ大佐の独裁政権が反体制派勢力との内戦状態に入り、我が日本国において菅直人民主党政権が有権者の支持を喪失して窮地に立ち、北朝鮮において軍人は飢えに苦しみながら金正日に対する反感を高めている。
 中東とアジアにおいて左翼政権が相次いで崩壊の危機に直面している。

金正日、軍の暴動を憂慮…銃弾回収を指示(中央日報2011.02.25)

 北朝鮮軍が弾丸のない銃を持って歩哨に立っている。軍部隊の銃弾をすべて回収しているからだ。
軍人の暴動への対処という。

 自由北朝鮮放送は南浦市(ナムポシ)の軍人消息筋を引用し、「18日から軍部隊の銃弾をすべて回収し、大隊弾薬倉庫に移している」と報じた。これは北朝鮮軍創建以来初めてのことだ。

 消息筋は「北朝鮮当局は口では先軍政治と騒いでいるが、今は金正日(キム・ジョンイル)が軍部隊と軍人を信頼していないため、こうした措置を取っている」と主張した。

 また「いま北朝鮮の軍人は飢えに苦しみながら金正日に対する反感を高めている状況であり、金正日が事前対策として軍人の手から銃弾をすべて回収している」と付け加えた。

 この消息筋は「人民軍服を着て路上や市場で物乞いしている軍人が多いため、金正日国防委員長が軍部隊も信じられず、彼らを弾圧対象と見ている」と伝えた。


 北朝鮮労働党は生物兵器を使った韓国の奇襲攻撃に全く対応できなかった。口蹄疫を韓国から北朝鮮に伝染して北朝鮮の食糧生産を支える家畜力を壊滅させ、北朝鮮軍将兵を飢餓に追い込むという奇想天外な作戦は、諸葛亮や豊臣秀吉にも思いつかないからである。

<マッカーサー占領軍憲法解釈学からの覚醒>

 戦後の我が国では、帝国憲法違反など13の無効事由を抱える占領軍憲法(日本国憲法)が有効な最高法規として半世紀以上まかり通っている。

 これこそまさに異常中の異常事態であり、これを正常化して、立憲主義の敵である革命肯定論(違憲改正の憲法を無効とせずに新憲法として有効とすること)を否定し、適法過程(due process of law)を尊重する国民精神の回復と再確立を図り、自由の源泉の一つである立憲政治を防衛することこそ、真の戦後民主主義の克服超越であり、真の戦後レジームからの脱却である。

 我々が肝に銘じなければならないことは、革命肯定論によって初めて正当化される憲法典を支持する護憲勢力は、革命に対して法理的に抵抗できずに(違憲の憲法改廃を無効とは主張できない)憲法典を失う悲劇を免れないこと、そして我が国は、革命が繰り返される国内の混乱の中で国体を一度失ったならば、もう一度これを再生することは不可能に近いということである。

 今後も我が国体は、百年に一度あるかどうか分からない国家と民族の危機に備えて、他の国が持っていない日本民族固有の財産として大切に保存され、我々の子孫に継承されなければならない。
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posted by 森羅万象の歴史家 at 20:00| 日本国憲法の正体 | 更新情報をチェックする