2015年01月30日

違憲有効界改憲派の厚顔無恥に御用心!真正の法力(憲法の非常事態対処能力)再生方策

 大日本帝國憲法には、軍隊に関する規定すなわち第十一條(統帥大権)、第十二條(編成大権)、第二十條(兵役の義務)、第三十二條(軍人の権利制限)、第六十條(軍法会議など特別裁判所の管轄)の他に、以下の非常事態対処規定がある。

第八條(議会閉会時の緊急勅令)
第十四條(戒厳の布告)
第三十一條(天皇の非常大権)
第七十條(議会召集不可能時の財政上必要の処分)
第七十五條(摂政設置時の典憲改変の不可)

 第七十五條は、1907年ハーグ陸戦法規第四十三条やこれに準拠する1946年フランス憲法第九十四条「本土の全部もしくは一部が外国軍隊によって占領されている場合は、いかなる憲法改正手続きも、着手され、または遂行されることはできない」と同じ役割を果たす優れた規定である。

 帝國憲法第七十五條「憲法及皇室典範は摂政を置くの間之を変更することを得ず」の立法趣旨は、摂政が置かれる期間を國家の「変局時」と認識し、國家変局時の憲法及皇室典範の変更を禁じると同時に、憲法改正の発議が天皇の専権事項であること(帝國憲法勅語)を担保して、天皇以外の者が発議する憲法の改正を禁じているのである。

 これは帝國憲法各条項の立法趣旨すなわち正当解釈を詳述する憲法義解に読めば一目瞭然となる。

「恭て按ずるに、摂政を置くは國の変局にして其の常に非ざるなり。故に摂政は統治権を行うこと天皇に異ならずと雖、憲法及皇室典範の何等の変更も之を摂政の断定に任ぜざるは、國家及皇室に於ける根本条則の至重なること固より仮摂の位置の上に在り、而して天皇の外何人も改正の大事を行うこと能わざるなり。」(伊藤博文著憲法義解第七十五條解説)

 敵国軍隊が日本国本土を占領し敵国の戦略に沿い帝國憲法を改変することは、敵軍が天皇からその専権である憲法改正発議権を簒奪することを意味する。この期間は、天皇が病気その他の事故により憲法改正発議権を行使できない「摂政を置くの間」と同等以上の国の変局時である。かかる非常時に天皇以外の者(敵国軍隊であるGHQ)が帝國憲法を改変したことは第七十五條の二重違反にあたり、無効である。

 大日本帝國憲法には、非常時の危機から、皇室、国民、憲法、それらを包含する日本という国家の存立を護るための多重防範が既に備わっている。しかもそれは関東大震災と東京大空襲の際に無政府状態の発生を未然に防いだのである。

 明治天皇、伊藤博文、勝安芳(海舟)、榎本武揚をはじめ枢密院帝國憲法制定会議に参加した明治の偉人達は、それまでに幕末の動乱をくぐり抜け、約二百六十年続いた徳川幕府の終焉を見届け、戊辰戦争と西南戦争という本土決戦を経験した。

 彼等は世の無常を熟知しており、地方行政の麻痺、議会の召集不能、中央政府の崩壊、敵軍の占領といった非常事態の発生を想定し、それらに対処するための法力(憲法の非常事態対処能力)を帝國憲法に盛り込まざるを得なかった。

 東日本大震災の発生以後、保守風味の有効界改憲派は日本国憲法の欠陥として非常事態対処規定の不備をあげつらい、これを盛んに批判している。
 帝國憲法違反のGHQ製日本国憲法を有効な最高法規として罷り通らせている当事者の彼らが今さら日本国憲法の欠陥を批判するのは厚顔無恥の所業ではないか。

 さらに、もし違憲有効界改憲派の学者と政治家が日本国憲法の欠陥を批判しながら、帝國憲法第七十五條や1946年フランス憲法第九十四条と同じ立法趣旨を持つ非常事態対処規定を日本国憲法の改正案に盛り込まないとすれば、彼等は空想虚言癖を持つ無恥蒙昧な愚人である。

 彼等は、我が国が大東亜戦争に大敗北したことを省みず、またサンフランシスコ講和条約の発効から六十年が経過した今日においても我が国が日本国憲法という名のGHQ(占領軍)の桎梏に苦悶していることを省みることなく、今だに神州不滅思想を持つ愚人の群れである。

 ここでいう神州不滅思想とは、「我が国が再び戦争に敗れ、敵軍が再び我が国を軍事占領し敵国の都合の良い様に我が国の憲法を改変するという非常事態は、今後絶対に有り得ない、起こり得ない」と意識的あるいは無自覚に決め付ける思考である。

 改憲派が神州不滅思想をもって憲法の非常事態対処規定の再生を試みることは、2011年3月11日以後の東電と日本政府が巨大地震、巨大津波、原発のメルトダウン、メルトスルーの再発を想定することなく今後の防災体制を構築するに等しい愚行である。

 この愚行は、神州不滅思想を抱く者が想定しない非常事態が不幸にも発生し終了した後に、日本国民が敵軍による日本国憲法の改変の無効を宣言して正統憲法の復元(正統憲法の事後救済-詳細はこちら)を実現するための憲法上の法的根拠を、次世代の日本国民から剥奪する暴挙であり、我が国の未来に対して余りに無恥無謀無責任である。

 もし違憲有効界改憲派がそのことを恥じて神州不滅思想を捨て去り、日本国憲法の改正案に帝國憲法第七十五條や1946年フランス憲法第九十四条と同じ立法趣旨を持つ非常事態対処規定を盛り込み、この規定に違反する憲法改変の無効を宣言すれば、これは自動的に彼等の日本国憲法無効宣言となる。

 結局のところ日本国憲法無効・大日本帝國憲法復元改正(増補)こそ真正の法力(憲法の非常事態対処能力)再生なのである。

 大日本帝國憲法は枢密院帝國憲法制定会議に参集した明治の偉人達の叡智の結晶であり、日本国憲法の桎梏から我が国を解放する偉大な法力を持っている。

 枢密院帝國憲法制定会議が終局を迎えようとしていたとき、金子堅太郎は、顧問官の勝安芳が枢密院の審議中に帝國憲法原案に対して一言も意見を述べないことを不思議に思い、勝に沈黙の理由を質したところ、勝は次のように答えた。

「伊藤はかつて国会尚早を唱え、後ドイツに遊び教えを其の国の碩学に受けたから、必ずビスマルク一流の圧制的憲法を立案するに相違ないと想像して居たから、事前に之を匡救したいと思って数次意見も述べたが、さて愈々(いよいよ)配布された草案を見ると案に相違し、さらさらと読めて淀みがなく実に上々の出来栄え、批点の打ち所がないか或いは何処にか瑕瑾がありはせぬかと諸君の議論を聴くのを楽しみにして毎回出席して居るが、未だかつて一つも之を見出さぬから沈黙して居る次第だ」(林田亀太郎/明治大正政界側面史)

 日本国民は、占領憲法の正體-新無効論が詳述する13の無効理由を広め、日本国憲法無効・帝國憲法復元改正論を支持する西田昌司参議院議員を応援し、明治の偉人達の叡智を素直に相続すべきである。
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posted by 森羅万象の歴史家 at 21:00| 大日本帝国憲法の真髄 | 更新情報をチェックする