2015年03月01日

憲法改正詐欺に御用心!占領軍憲法第9条より恐ろしい財政均衡主義の憲法条項化

 GHQがマッカーサー占領軍憲法(日本国憲法)第9条の「芦田均修正」を容認する代償として日本国憲法第66条2項に挿入した「国務大臣の文民限定」は、「芦田均修正」ともども帝國憲法第73條違反であるばかりか、無知と錯誤の産物である。

 日本国憲法第66条2項がGHQの無知と錯誤の産物である理由は次の3つである。

・軍部大臣現役武官制度の弊害を除去するには、軍部大臣の官制を1891年〜1900年の軍部大臣武官文民制度に戻せば良かった。

・内閣官制第9条「各省大臣故障アルトキハ他ノ大臣臨時摂任シ又ハ命ヲ承ケ其ノ事務ヲ管理スヘシ」により、帝國憲法下の内閣総理大臣は臨時に軍部大臣を兼任でき、そもそも軍部大臣現役武官制度は内閣の生殺与奪権を軍部に与えなかった(半藤一利の虚構史観を斬る!昭和十年代の陸軍と政治―軍部大臣現役武官制の虚像と実像)。

・支那事変の拡大長期化は軍部の暴走ではなく、近衛文麿という文民首相の暴走であった(ひと目でわかる日中戦争が拡大長期化した原因と元凶−近衛文麿と尾崎秀実の国家犯罪)。

 それなのに国務大臣の就任資格を文民に限定する日本国憲法第66条2項は全く不合理である。同条項が日本国憲法にない場合、国会議員である内閣総理大臣は自衛隊の現役将官を防衛大臣に任命し、これを罷免することができる(日本国憲法第67条、第68条)。したがって自衛隊のシビリアンコントロール(軍人に対する政治家の優位、政治家の軍事支配)に日本国憲法第66条2項は全く不必要である。

 国務大臣が文民に限定される必要はなく、また国務大臣の過半数が国会議員である必要もない。内閣総理大臣が国会の内外から国務大臣に相応しい能力を持つ日本国民を起用した結果、自衛隊の現役将官が防衛大臣その他の国務大臣に就任しようが、国務大臣の過半数が非国会議員になろうが全く問題ない。彼等が何か問題を起して国政に悪い影響を及ぼしたならば、内閣総理大臣は直ちに彼等を罷免できるからである。

 さらに内閣総理大臣が国会議員である必要すらない。国会は国会の議決をもって国会の内外から宰相の器量を持つ日本国民を選んで内閣総理大臣に指名し、これに基づいて天皇陛下が内閣総理大臣を任命されればよいのである。
 国会が法律承認権と予算承認権を持つ限り、国会に指名された皇族や自衛隊現役将官が内閣総理大臣に就任しても、我が国の立憲議会制デモクラシーは全く揺るがない(現代日本に甦る美濃部達吉の遺言−立憲議院内閣制の理想型)。

 それなのに、産経新聞社の「国民の憲法」起草委員会第10回会合では、文民の定義について大原康男(国学院大学教授)が「(憲法上)『現に軍人ではない人物』と表現すべきだ」と提案したという。

 今なお産経の「国民の憲法」起草委員会は「国務大臣の文民限定」に固執しているのであれば、彼等には全く呆れ果てる以外にない。「国務大臣の文民限定」は適材適所を妨げ、憲法の運用を硬直化させるのみである。

 憲法は国家の最重要規範であるがゆえに国家の最高法規であるから憲法改定要件は軟性であってはならない。憲法改正は国家の一大事であるから、憲法改定は頻繁であってはならない。改定要件が軟性で改定が頻繁であればあるほど、憲法改悪が生じ国体を破壊し皇室と国民を含む国家に厄災をもたらす危険性を高めてしまう。

 したがって我が国は、憲法の改定要件が超硬性であることと憲法の運用が柔軟になることを見事に止揚した大日本帝國憲法原案の起草原則のうち少なくとも以下の第三原則を受け継ぐべきなのである。

第三、欧米各国の憲法は多くは帝王の圧制を検束し、又は人民の権利を保護する為に制定せられたものであるから、その条項は頗(すこぶ)る多数にして、議員の資格権利、議事の方法等に至るまで詳細明記している。

 しかしながら我が憲法においてはこれ等の条項は憲法付随の法律、勅令に譲り、憲法には帝国政治の大綱目のみに止め、又その条文のごときも簡単明瞭を主とし、将来国運の発展に伴い、伸縮自在「フレキシビリティー」にして、しばしば憲法の改正を要せざるように起草せられた(金子堅太郎談)。


 自民党内の違憲有効界改憲派に属する邪な連中が企てている「財政均衡主義の憲法条項化」など言語道断である。これは、憲法の運用から伸縮自在の柔軟性(フレキシビリティ)を奪うだけでなく、現在日本の最高法規の地位を違法不当に占領している日本国憲法第9条より効果的に我が国の武力を封印する危険な構想である

 自衛戦争の遂行とは、政府が戦争終了まで財政均衡主義を放棄し、大規模な財政出動を行い戦勝を期すことだからである

 産経新聞社は占領軍憲法第9条の是非に焦点を当て、第9条の改正を力説している。有権者が、菅原裕の日本国憲法失効論に糾弾された産経新聞社の第9条改正論に酔い痴れ、諸悪の根源として占領軍憲法第9条を憎悪するあまり、第9条の改正が日本国を再興すると信じ込むと、公選議院の弊害を体現する政党の憲法改正詐欺に引っ掛かり、またまた後悔するのである。
 
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posted by 森羅万象の歴史家 at 22:00| 日本国憲法の正体 | 更新情報をチェックする