2015年06月11日

連合国による憲法第九条の解釈変更を無視する似非立憲主義もどきの蔓延−集団的自衛権に関する絶望的な混迷

 ホイットニー准将以下GHQ民政局はマッカーサー・ノートに基づき昭和二十一年(1946)二月三日から僅か六日間で総司令部草案を作成し、十日にこれをマッカーサーに提出した。ノートの第二原則は、第二原則にあった「自国の安全を保全するための手段としての戦争をも放棄する」を除いて、草案第八条に盛り込まれた。

 「国家の主権的権利としての戦争は廃棄される。武力による威嚇または武力の行使は、他国との紛争を解決する手段としては、永久に放棄される。陸軍、海軍、空軍、その他の戦力は認められず、交戦権は日本に与えられない。」(総司令部案第八条)

 日本政府は総司令部草案を日本語に翻訳してこれに基づき憲法改正草案を作成し、総司令部案第八条に若干の字句の修正を加えて、これを九条に移し、昭和二十一年六月二十日に開会された第九十回帝国議会に政府の改正草案を提出した。
 
 そしてこれが衆議院に設置された芦田均を長とする特別委員会で審議された際に、日本の丸腰状態の永続化を危惧する芦田委員長が、占領軍総司令部に気づかせぬまま、我が国の自衛権を留保し将来における自衛軍の再建を合法化するという含みを九条に持たせる為に、九条第二項に「前項の目的を達するため」という字句を挿入し、今日の憲法九条が成立したのである。

 「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」


 連合国極東委員会とその執行機関であるGHQ(占領軍)は、芦田の意図に気付いたものの、帝國議会における芦田均のマッカーサー占領軍憲法(日本国憲法)第九条の修正を承認し、その代わりに自衛権行使のための日本国の再軍備を前提として、軍部大臣現役武官制度の復活を防止するために、第六十六条二項に国務大臣の文民限定を挿入したのである。

 いずれの行為も憲法に依って天皇に専属する帝國憲法改正発議権の侵害であり帝國憲法の発布勅語および第七十三條違反なのであるが(詳細は逆賊の憲法改正案に御用心!憲法の本質を示す憲法改正の手続き)、それは別にして帝國憲法の改正という形式と採った日本国憲法の制定過程において連合国とGHQは憲法第九条の立法趣旨−正当解釈を「マッカーサーノートの第二原則」から「芦田均の修正」に変更したのである

<日本国憲法起草原則マッカーサーノートの第二原則>

 国家の主権的権利としての戦争は廃棄される。日本は、自国の紛争を解決する為の手段としての戦争を、さらに自国の安全を保全するための手段としての戦争をも、放棄する。日本は、自国の防衛と保護の為に、現今世界を動かしつつある崇高な理想に依存する。日本の陸軍、海軍、空軍は認められることなく、交戦権が軍隊に与えられることもない。

<芦田均の修正>(昭和二十七年、佐々木惣一京都大学名誉教授の解説文)

「前項の目的とは、憲法九条一項に、国家が放棄し、為さぬとしている行動、詳しく言えば、前述の如く、国際紛争解決の手段として、戦争、武力の威嚇又は行使を為さぬということである。そして、そのことが貫徹されることが、同条第二項に、前項の目的を達する為、ということである。そして、その為に、同条二項は、更に戦力を保持しないことを規定するのである。

 ところで、同条第一項では、前述の如く、国際紛争解決の手段としての戦争、その他一定の行動を放棄し、国際紛争解決の手段としてでなく、例えば自衛の為にこれらの行動を為すことは、これを放棄していない。

 故に、この憲法第九条第一項の目的を達する為に、同条第二項が戦力を保持しない、とするのも、国際紛争解決の手段として行う戦争その他一定の行動をなす為にする戦力の保持についていうことは明らかである。したがって例えば、自衛の為にする戦力保持は禁止されたものではない。」


 以下のサンフランシスコ講和条約第五条C項は、連合国によるマッカーサー占領軍憲法第九条の解釈変更を証明する。

<サンフランシスコ講和条約第五条C項>

 連合国としては、日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有すること及び日本国が集団的安全保障取極を自発的に締結することができることを承認する。


 だからポツダム宣言違反、1907年ハーグ陸戦法規第四十三条違反、大日本帝國憲法の発布勅語および第七十三條および第七十五條違反のマッカーサー占領軍憲法を最高法規として遵守する似非立憲主義者は、憲法第九条の正当解釈として連合国に承認された「芦田均の修正」を絶対に支持しなければらない。

 「芦田均の修正」を無視してきたサンフランシスコ講和条約発効後の歴代政権、国会対策として憲法第九条から好き勝手な解釈を捻り出してきた内閣法制局の東大阿法学閥、芦田修正の不採用を公言して憚らない安倍晋三首相、「締約国の集団的自衛権行使を相互に義務化する国際条約に基く共同防衛体」の構築を妨害する我が国の反日左翼勢力は、似非立憲主義者ですらない。

 しかも彼等のうち、一方は共産中国を国際社会の平和と安定を乱す不正と不信の国と認識してこれを警戒し、他方はアメリカ合衆国を国際社会の平和と安定を乱す不正と不信の国と認識してこれを敵視している。

 つまり彼ら親米派(反中派)も親中派(反米派)も、このマッカーサー占領軍憲法の前提であり目的である憲法前文中の「日本国民は平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」を全否定しているのである。

 確かに平和愛好諸国民を詐称する連合国(国連)には公正と信義はない。あろうはずがない。アメリカ合衆国と共産中国に「拒否権を有する安保理常任理事国」という地位を与えている連合国がどうして公正と信義を有するといえようか!

 それなのに彼等は事情変更の原則に基く日本国憲法の失効を主張せずに、日本国憲法有効論にしがみつき、法の支配を尊ぶ真正の立憲平和主義とも、GHQの違法な軍事占領作戦の産物である日本国憲法を遵守する似非立憲主義とも全く無縁の醜い論争を繰り広げている。

 残念ながら伊藤博文の座右の書「ザ・フェデラリスト」が詳述する以下の公選議院特有の欠陥に覆い尽された我が国の国会は似非立憲主義者もどきが跳梁跋扈する醜議院と惨議院に成り果ててしまっているのである。

<公選議院特有の欠陥>

・党利党略に走り、度を越した有害な決議を行う。
・立法の目的や原理について、必要な理解と知識がない。
・不安定で、思いつきの政策を乱発し、自国の利益を他国の餌食にする。
・私欲に塗れ、国家の名誉を重んじない。
・重大な事態において責任が欠如する。
・議席を獲得するために有権者をだます。


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posted by 森羅万象の歴史家 at 01:00| 日本国憲法の正体 | 更新情報をチェックする